発電用タービンは日本企業が高いシェアを持っていますが、火力発電向けタービンは近年の環境対策から需要が年々下火になっています。そんな明るいニュースが少ないタービン業界ですが地熱発電においてもタービンは必要とされており、また地熱資源に含まれる硫黄分などの劣化対策が求められることから、参入障壁が高い分野であることは変わりありません。
そんなタービンの製造を得意とする日本メーカー2社と地熱発電事業を手掛けるイスラエルのOrmatについて解説していきたいと思います。
そもそも地熱発電とは?
地熱発電は地中のマグマの熱源を使用し、蒸気を発生、タービンを回して発電する方法です。地熱発電は温室効果ガスを発生させない再生可能エネルギーです。また、太陽光や風力発電にない強みとして天候に左右されない発電量があります。
2020年現在の地熱発電の世界の総発電量は100TWh/年を少し超える程度ですが、2050年には14倍近い1400TWh/年、全エネルギー中に3.5%のシェアを取るという導入目標が国際エネルギー機関(IEA)から採択されています。
地域別の地熱発電による発電量のロードマップ
(NEDO再生可能エネルギー技術白書 第7章地熱発電から引用)
富士電機
富士電機は家電製品の販売からは1970年代に撤退しています。
事業セグメントとしてはパワエレシステム エネルギー、パワエレシステム インダストリー、電子デバイス、発電プラント、食品流通(自動販売機、コールドチェーンなど)を持っています。
地熱発電設備に関しては世界シェアの4割を持ち、世界1位となっています。
2010年にニュージーランド ロトカワ区地区にナ・アワ・プルア地熱発電所に納入した発電プラントが当時世界一の発電出力を有しました。発電方式としてはフラッシュ方式、バイナリー方式どちらも手掛けています。
三菱重工
そのオルカリア地熱発電所のタービンは日本のメーカーである三菱重工によって作られています。ケニアはこれから約20年で発電量を30倍以上にする計画とのこと。700キロワットあるとされているケニアの地熱資源。日本の技術がこれからも必要とされる。 pic.twitter.com/j0OwF9ej
— 野口健 (@kennoguchi0821) August 25, 2012
三菱重工は日本最大の売上高を持つ重工メーカーです。
2010年代にはアイスランド、レイキャビク・エナジー社と協業し、アイスランドに15基の発電設備を納品しています。
2019年には日立製作所と合同して設立した三菱日立パワーシステムズが大型ガスタービンシェアで世界一になりました。しかし、近年の環境問題の影響から火力発電向けタービン需要は減少傾向にあります。この難局をどの様に乗り越えていけるかが注目されるところです。
Ormat(オーマット)
イスラエルに本社を置く企業で、地熱発電設備の設計から販売、関連サービスまで担う世界で唯一の地熱企業関連会社です。
独自のバイナリー方式の技術を有しており、高い発電効率を発揮していることから競争力が高いです。
また地熱発電の他にも太陽光発電事業やオイルサンドの精製事業なども行っています。
同社はニューヨークに上場しており、ティッカーはORAです。
まとめ
如何だったでしょうか。
地熱発電は天候に左右されない再生可能エネルギーとして今後普及が見込まれます。
地熱発電は高効率のタービンや硫黄などの腐食に強いノウハウが必要であり、参入障壁が高い分野であることが予想されます。
この記事を読んで、地熱発電が普及して、クリーンなエネルギーが安く手に張る未来について考える機会になれば嬉しいです。
では、また次回の記事でお会いしましょう!
参考サイト
【2020年1月更新】東芝事件の全貌とは?事件の経緯と関連ニュースを時系列でまとめてみた
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