欧州は2050年に関する野心的なCO2排出削減目標を宣言、アメリカもバイデン政権が誕生が見込まれ、グリーンエネルギー投資が加速しそうです。また菅首相も所信表明演説で国内の温室効果ガス排出を2050年までに実質ゼロにする目標を表明しました。
これにより国内においても再生可能エネルギーの普及が加速することが期待されます。再生エネルギー発電の中でも洋上風力発電は高いポテンシャルがあり、その建設適地は北海道・東北エリアに集中しています。
北海道・東北エリアはこのチャンスをものにできるのか、本記事で考えていきたいと思います。
洋上風力発電の適地
資源エネルギー庁の資料にある洋上風力発電の適地は北海道・東北エリアに多いです。仮に関東圏のエネルギーを洋上風力発電で補おうと考えた場合、北海道・東北エリアから送電することが必要になってきます。そのためには既存の送電系統を拡充していくことが必要との議論がなされています。
洋上風力発電を担う日本企業は?
洋上風力発電は多種の技術が組み合わさり構成されています。洋上風力発電の建設技術は海上油田の開発技術と重なることが多く、これらの技術を併せ持つ欧州勢が先行する要因の一つとなっています。
日本の企業は風況観察やメンテナンス関連技術を有していますが、海上油田開発の技術は欧州勢に劣ります。また日本周辺の海は遠浅の海域が狭く、欧州で一般的な設置型洋上風力発電所を建設できるスペースが限られます。そのため浮体式洋上風力発電所を建設する必要がありますが、コストが高く採算が合わないため三菱重工や日立製作所などモーター関連メーカーは洋上風力発電から撤退しています。
日本が本気で洋上風力発電に取り組む場合、政府主導で技術を作り上げる企業を育成していく必要があります。
北海道・東北の電力会社は?
北海道電力は2019年から豊田通商系の再生可能エネルギー企業Green Power Investmentと共同で石狩湾洋上風力発電事業に関するプロジェクトを進めています。
東北電力は2020年にジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社と共同で八峰能代沖洋上風力発電事業に参画することを表明しています。運転開始は2024年を目標に15万5千kWの発電を目指しているそうです。
私見:豊富・安価なエネルギーで産業構造改革を
青森県は産業構造に占める第1次産業の割合が大きいです。
青森県以外の東北、北海道の産業構造を調べてはいませんが、第1次産業に占める割合は他地域に比べ高いと予想しています。
第1次産業の割合が高いということは一般的に生産性が低いことが予想されます。結果平均賃金が低下し、人口の転出が続く原因になっていると考えています。
⇒青森県の雇用と人口、生産性の低さが問題なのでは - 青森活性化ブログ
私は洋上風力発電が北海道・東北エリアに広く普及した場合、電力価格が大きく低下すると考えています(現状の洋上風力発電は建設コストが非常に大きい為、如何に建設コストを下げるブレークスルーが無ければ広く普及はしないと思っています)。電力価格が下がれば電力を使用する産業を引き付けることができます。例えばデータセンターなどは莫大な電力を使用するため、電力価格が低い地域が出現することは魅力になり得ると思います。北海道・東北エリアの自治体はこれらの点をアピールし、2030年を見据えてIT、金融、製造業(強みである第1次産業の生産性を挙げることができる産業)など生産性が高い産業を特定のエリアに集積させて誘致し、北海道・東北エリアの生産性を向上させるべきだと思います。
参考サイト
菅首相、2050年カーボンニュートラル宣言の舞台裏|日経エネルギーNext
2050年カーボンニュートラルの実現に向けた検討 令和2年11月17日 資源エネルギー庁
株式会社グリーンパワーインベストメントと北海道電力株式会社による石狩湾洋上風力発電事業に関する連携協定の締結について - 北海道電力
GPI|Green Power Investment Corporation | Green Power Investment
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