量子コンピュータを知っていますか?
現在のコンピュータは2進法で動いていますが、量子コンピュータは量子ドットを使用することで2種類以上の情報を記憶し、n進法で動くことができます。そのため計算速度が爆発的に向上する技術です。
この量子コンピュータを制御する量子技術の開発に各国が凌ぎを削っています。日本も東京大学、東北大学などのアカデミア、NEC、富士通などの民間企業、ベンチャーが関連技術開発に取り組んでいます。コロナ禍で逆風が吹く昨今の経済状況においてこれら量子技術関連株はコロナ前の株価を取り戻せず出遅れ感があります。投資判断をどうするべきか個人的に調べてみました。
*あくまで個人の意見です。本記事は投資を進める意図はありません。投資は自分の意思で、自己責任でお願いします。
投資銘柄一覧
2020年12月時点で黒字着地が見込めそうな銘柄を以下にリスト化しました。
バリュエーションを見るとブレインパットやフィックスターズはPERが非常に高いですが、他の銘柄はそこまで高い値を示していません。
YKT
独立系の中堅機械商社で電子機器40%、工作機械30%、光電子部品6%、測定機器4%、その他事業から構成される。
2017年に量子コンピューターに注目が集まった際にYKTの子会社サンインスツルメントが量子コンピューター部品を取り扱っている点が材料視され200円台から一時800円台まで急騰、2019年に量子コンピューター部品を納入していることが材料視された際も株価は急騰しています。直近の業績はコロナ禍で減益傾向が見られる。
ブレインパット
事業はビックデータのAI解析によるした企業データ分析、コンサルティング、マーケットプラットフォームの3セグメントから構成されています。
株価は2017年の1000円台から2019年には一時8000円台まで急騰、その後下落トレンドが継続し2020年現在は4000円台です。過去の急騰の背景は量子コンピューターに関連する技術を持つという投機的な資金流入があったと思われ、現在の株価もPER150倍と割高で推移しています。業績は黒字を維持しつつも減益傾向であり、現在の株価正当化する成長ができるか高いハードルが続くと思われます。
テラスカイ
顧客管理システムを提供するSalesforceのクラウドサービス導入支援ビジネス、アマゾンのAWS案件を展開。コロナ禍において企業が推し進めるDX、テレワーク関連投資を取り込み成長性を確保している。またテラスカイは量子コンピューター関連ビジネスを行う子会社キューミックスを設立し、IBMと協業体制で研究開発を進めています。
HPCシステム
2019年9月に上場したHPCシステムは企業、研究機関向けに科学技術用の高性能計算システムを開発しています。具体的には北海道大学大学院、エヌビディアと共同でスーパーコンピューターやディープラーニング関連のプログラム開発を行っています。
2020年7月には量子コンピューター向けソフトウェアを開発するQunaSysと業務提携を行い量子技術開発を進めています。
エヌエフホールディングス
電子計測制御、電源システム、電子デバイス、応用システムなどの事業を持ち、特に社名にもなっているNF制御技術に強みを持っている。独自開発の電子計測器、応用機器で北米、中国にも展開しています。2017年までは株価が1000円以下でしたが、量子コンピューターの重要部品である信号増幅装置を製造していることから一時3000円代まで急騰しました。
シグマ光機
2017年にノーベル物理学賞を受賞した重力波測定に関連し、岐阜県地下にある大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」の建設に関わるなど研究開発向けのレーザー関連部品に強みを持っています。また半導体製造向けレーザーも手掛けています。直近は2期連続の減益が予想されていますが、2021年はデータセンター増設が予想され、半導体向けの高精度光学ユニットや光学素子などの収益が見込まれています。量子技術はレーザー分野とも密接に関係しており、シグマ光機は量子コンピューター向けビームスリッターなどで既に実績を持つだけに要注目です。配当利回りは3%を超えPBR0.6倍とバリュー株でもあります。
スパークス・グループ
独立系資産運用会社でアジア地域のエネルギー、医療、介護、量子コンピュータ関連企業に投資を行っています。また子会社のシグマアイがソニーと量子アニーリング関連技術の研究を進めたり。トヨタから出資を受けている宇宙フロンティアファンドなどの日本のトップ企業と共同で進めるプロジェクトを多数有しています。
私見:おすすめの銘柄、戦略は?
あくまで個人の意見です。参考程度にお読みください。
これまで挙げてきた量子技術関連銘柄は既に人気化している環境関連銘柄、半導体銘柄などと比較し比較的安値で推移している銘柄が多いと思われます。またシグマ光機、スパークス・グループは配当利回りが3%付近にあることからバリュー株投資としても捉えることのできる銘柄だと判断しています。また業績面ではテラスカイ、HPCシステムズは2021年に増益を見込んでおり、株価に好材料となると思われます。
ただし、年末の日経平均のモメンタムは下向き方向であり、また個別株ごとに見てもモメンタムが下向き方向の銘柄多く急いで買い向かう必要は無いと考えています。モメンタムが上向き方向になった時に上記4銘柄を配当、成長狙いで各資産の5~10%以内で購入したいと考えております。
参照サイト
YKTがストップ高、エヌエフ回路、ブレインPなど量子コンピューター関連に波状的な買い続く | 株探ニュース
<JQ>YKTが一時ストップ高 米グーグルの「スパコン超え」で思惑: 日本経済新聞
HPCシステムズとQunaSys、量子コンピュータ向け化学計算プログラムの共同実証を開始|QunaSysのプレスリリース
シグマ光機が急騰、ノーベル賞有力候補の重力波関連として物色(訂正・9月25日送信分)//モーニングスター
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